生演奏HIPHOPさが一番詰まってる曲 MTV Unpluggedの歩き方17〜収録楽曲 #タケウチカズタケ 完全解説12〜

Post date : 2021.05.11

Category : LIVE INFO

Tags :

帰ってきた全曲完全解説シーズン2!いよいよ最終回となりました…
演奏曲が全部で16曲(パッケージ収録15曲+ 未収録のB-BOYイズム)あったのに、
「楽曲完全解説が何故12回なのか?」は、遡って読んでもらうとわかりますが、
数曲を流れでまとめて解説してる回があるからです、途中から読んだ方はご了承下さい、はい。

DVD/BDを購入するとついてくるフォトブックの裏表紙に
この写真が採用されてるのはとても感慨深いことの1つでしたね…ピアノと自分が貼り付けてたセットリスト
IMG_5526

さあ、ではいよいよ最後の1曲「グレイゾーン」の、
オレ的見所聴き所を完全解説しますね

「最後の完全解説、さー書くよ!」

①今回のセトリの中でも、トップクラスにお勧めしたいアレンジ作品ですね。
「オリジナルのイメージから離れた所から始まるアレンジシリーズ」でして、
Dさんから提案されたのが、

「グレイゾーンの元ネタになった曲に近い感じで演奏したい」

というアイデアがスタートでして、それがボサノヴァでした。
なので、当初のアイデアだと、
グレイゾーン1曲丸ごとボサノヴァアレンジにしちゃおう、みたいな話やったと思います。
それもなかなか魅力的なアイデアだったんですが、オレはどっかのタイミングで
オリジナルのグレイゾーンのビートの感じに戻してみたいと思いまして、
結果、2ヴァース目ウタさんの終わりからフックに行くタイミングで、
どーーんと、レゲエでいうミックスみたいな、オリジナルグレイゾーンのビートを入れるアレンジになりましたね。

②聴き所シリーズでいうと、まずはけっちゃんの色とりどりのパーカッション。
音だけ聞いてても、何種類出てくんねん!って楽しいですし、
映像でチェックすると、あー、こんな楽器使ってんのか!みたいな答え合わせになりますし、楽しいですね。
今回のDVD/BDは、結構けっちゃんのプレイを追いかけてみるのも楽しい感じになってますんで、
他の曲でも、何か気になる音があれば映像でチェックするといいと思いますよ
(梯子酒で使用された、何やらお酒の瓶が固定されてる様子もしっかり確認出来ます)
IMG_5143

③冒頭から、雰囲気を漂わせつつ、このアレンジのキモとなったフレーズを決めてくれてるのが
フルートのくりちゃん。
最後に改めてまた書いておきますけど、くりちゃんの本職楽器はテナー&ソプラノサックスなんです!
が、本DVD/BDではテナーサックスを吹く様子は全く収録されていない!という衝撃的事実!
(辛うじて、ソプラノサックスは、POP LIFEでしっかり披露してくれています!)
テナーサックスは、未収録となったB-BOYイズムでしか吹いてないし…
ホントに無理言ってごめんね、そしてありがとう!くりちゃん。
でもね、くりちゃんの吹くフルートの感じは好きやし、梯子酒でのフルートはくりちゃん真骨頂やと思ってますからね(^^)
結局、この写真しかないので、終始怒ってる感じのくりちゃん、でした
IMG_5141

④この曲では、黙々とグルーヴキープでしなやかに決めてくれてたこーちゃん&アキラくん
といって、後半へ向けて曲がぐいぐいとドライブしていくと、しっかり温度を上げていってくれる最高なリズム隊です!
IMG_5144IMG_5145

⑤ちょっぴり自分のピアノの聴き所なんかも…(^_^;)
イントロ0’39″辺り(JINトロのシャウトと同時)に入ってくるピアノの、(タイミングの)ぬるぬる具合。
でもねーこれ、リハでやってた時くらい、もっとぬるぬる弾きたかったなあ、って思ってますねー、今になって。
ま、まあいいか。
アレンジ的には、ヴァースの中でBメロ的展開が出てくるんですけど、
その使い方は、Dさんからの色々なアドバイスやアイデアをリハでもらって、完成させていきました。気に入ってます。
「大成功!!」
IMG_5117

⑥ナッポのギターも、この曲では冒頭から重要なグルーヴと雰囲気を作ってくれてます。
この曲と次の「アマチャ」「耳カス」と3曲続けてアコギが重要な鍵を握ってましたねー
サンキュー、ナッポ!
スクリーンショット 2021-03-09 18.46.17IMG_5142

⑦この曲でのストリングスの役割は、オリジナルのグレイゾーンでも
フックでしか出てこない印象的なシンセの役割を担ってもらってます。
リハーサルでは、このシンセみたいに聞かせる方法も探ってみたんですが、
結果ストリングスにはストリングスらしいアプローチで弾いてもらうことにしましたね。
フックにしか出てこない、というストリングスチームの贅沢な使い方させてもらえたのも、今回は有り難かったです。
音楽ファーストというか、このアレンジの感じなんかもHIPHOPっぽいのかなあ、って思いますね。
変にゴージャスに入れ過ぎると、ラップの良さやファンクネスが薄まるというか、
広い意味でのクラブミュージックっぽさが無くなるな、って思うので。

あ、忘れそうになりましたが、イントロで実はチェロとヴィオラだけで、
ブオー、ブオー、ブオーって
入ってもらってます。ここ結構好きなとこ!
IMG_5146

以上を踏まえて、もう一度改めて
「グレイゾーン」聞いてみてもらいたいですね。
サンプリング元ネタの曲の演奏をベースにアレンジを広げていくスタイルは、
HIPHOPの生演奏変換には、結構よく出てくる形なので、ある意味バンドHIPHOPさが詰まった曲かもしれないですね。

*****************************************

いやあ、ホントにこんなにも丁寧にブログ化してまで、全曲解説を書きたくなった作品は
過去あっただろうか…(いや、無い)
自分のアルバムですら、全曲ここまで書き切った事ないもんなー
最新作blueprintの解説すら、途中で止まってるし…か、書かねばとは思っておるのだが。
SNSでは、何度か書いてましたが、2020年秋に、ホントに篭りに篭りまくって、
毎日、アンプラグドのアレンジか?blueprintのミックス・エディットか?をしてたってくらい、
時間とアイデアを詰め込みまくった、渾身の作品なんですよ…しみじみ感慨深い2作品
IMG_5532

全17回に渡った、壮大なRHYMESTER MTV Unpluggedを振り返るブログシリーズ。
自分的にも、後に読み返して「あー、そうだったそうだった」みたいになる記録って感じになりましたねー

そうだ、後ね、ライムスターの御三方が各所のインタビューで、
ホントによく自分の事も含めて紹介してくれてるのがめちゃくちゃ嬉しいんです。
自分のできる事を120%注ぎ込んで一緒に、ライムスターにとっても記念碑になりそうな作品を
こんな大変な時代に残せた事は、この先自分が迷う時には必ず振り返って道標になってくれる気がします。
この大切な作品を1人でもたくさんの人達が愛してくれますように。

2021年5月
タケウチカズタケ

CCW_4710

KAZTAKE 42 MUSIC