いよいよ最後の作品解説となってしまいました
ぜったくん「Strings Live sessions 2021」
ライブ演奏をそのまま作品にした4作品、最後の曲は
「sleep sleep feat. さとうもか」
めっちゃ好きですね、この曲。
この世界観でこんな歌詞で曲をかけるなんて、ぜったくんホントに素晴らしい。才能ですなあ…
これをゲストで歌う、さとうもかさんも、バッチリ過ぎで素晴らしいですね。
普通に見て、このボックス踏んで2人で踊る所とか、最高にいいですねー↓
というわけで、まずは未聴の方、一度見てみて下さいー
んー、良いですね
まあ、別に解説なくてもええんちゃうか、と思わなくもないですけど
敢えて、曲を全く別角度から、聴き所見所解説しておきましょう…折角ですからね
SNSの反応なんかをチラチラ見てるんですが
「ピアノとかの音が際立ってていい」みたいなのを目にしたんですが、
今回のライブアレンジのテーマは
「とにかく極限まで音を削ぎ落としてみた所からスタート」してるので、
この編成で人力で演奏可能な音数にする、ってことになってるんですね。
つまりは、1つ1つの楽器(パート)の音が際立つ事になってます。
まさに狙い通りで伝わってるなー、と思ってニヤニヤしてました(^^)
さて、「sleep sleep」ですが、例に漏れずこの曲もオリジナル音源が既に正解のようなアレンジで成立してる為、
何をテーマに再構築しようか、と思案に暮れたんですが、
「なんかいろいろちょっとずつズラしてみよう」
ってのがテーマになりました。
HIPHOPのテイストが4曲の中でも一番強い楽曲だったんで、
音楽的にいうと「多少ごちゃっと聞こえてもかっこいいならOKやろ的HIPHOPのルール(ただの自論)」が
適用出来そうだなー、と思ったんですね。
なので、スリリングな所をちょっと攻めてみよう、と
・コードの一部をちょいと変えて、ズラしてみました
・演奏のタイミングの一部をズラして演奏してみました
・(オリジナルにならってそのまま)テンポを一部ズラして演奏してみてます
コードの一部、っていうのは「A(ラ、ド#、ミ)」というコードが使われてた所に
「Aaug(ラ、ド#、ファ)」というのを一部ブチ込んでます。
「ミ」と「ファ」って、ピアノでいっても隣り合う音で、近くで同時にはなかなか鳴らしにくい音なんですけど、
この曲の中ではこの「ファ」って音がブルージーに響かせるキモな音になるので
今回のアレンジでは至る所で、「ファ」の音が鍵を握ってまして、
いきなり歌の入る所(0’45″)でストリングスが「ファ〜〜〜〜〜〜〜」と入ってますし、
アンサンブル的聴き所は、例えば1’47″~始まる
ストリングス・カルテットの音の中で1人、2ndヴァイオリンの音だけ、タイミングをズラしたバッキングですね
この1人ずれてる事で全体がいい感じで”もったり”した演奏になってるんですが、この時はみ出してもらってる音にも「ファ」がいるんですね〜
亀田夏絵さんakaなっち、の的確なプレイのおかげであります(写真左から2人目ね)
あー、でもやっぱりチェロ+ビオラだけになってる感じは好きなんですねー、1’26″~1’46″の感じ!
こーゆーアレンジは必ずやってしまう、まあ好きなんで仕方ない。いい音サンキュー、よっしー+ともちゃん!
2’23″~みたいな伸びやかな高音はもちろん、なおちゃんの1stヴァイオリンの音色。最高っす(一個上の写真の左端ね)
あと、個人的にこの収録日、直前まで悩みに悩んでたのが、1’05″の所のチェロの「ファ」
ここでさっきの「多少ごちゃっと聞こえてもかっこいいならOKやろ的HIPHOPのルール(ただの自論)」を
適用させて頂きましたっ、いいと思うんです!わかってやってるんですから!
…とまあ、こういう超細かい、マニアックなポイントはさておき、
2’29″~ストリングスの駆け上がりからの、「あなたとあなたといれば〜」女の子のちょっと現実めいた思いを馳せる場面。
ここは実は曲のテンポが少しだけ「ズレて」アップしてるんですね。
それをみんなが淡々とグルーヴし続けている…んー、いいですね
それを支えてるのが、MPCのKO-ney
この曲では、淡々とクエストラブのようなグルーヴを叩き出してくれてて最高。
3’10″~のストリングスの急降下な音(キュ〜〜〜〜ンみたいなやつ)を経て、曲のテンポはまた元に戻るんですね。
また夢見心地な世界に逆戻りしてくる、ってイメージ。
3’33~の最後のサビに入ると、キミカちゃんの絶妙ハモが合流して、サビが完成されてきます。
すると、ぜったリクエストだったストリングスの「ヒュンヒュン」も飛び込んできます
もう全部盛りですね、この辺りは(^^)
実はここでは、さっきまで登場してたズレた「ファ」の音は姿を消すんですね。調和優先。
ってなったと思ったら、3’53″~から、けたたましく弾き鳴らされるピアノ
これは、曲頭(1’26”)でぜったくんが口で表現してた「目覚まし時計」の音を、もう一回ピアノで入れてみたんですね。スヌーズ機能。
ピアノがソロというか、自由に弾き始める入り口で、実はここで弾いてる音も「ミとファ」
この曲の鍵を握ってた「ズレた音」をここにも入れてみてるんですねー
アレンジって楽しいでしょ?
って、こんなの気づくかー、ってレベルの話ですけどね。
オリジナルのアレンジを手掛けてたSUIKISHAくんは、黙っててもベースをどんどんズラしてプレイしてくれて、
きっちり演奏したら、ちょっと物足りなくなる所をクセになるグルーヴにしてくれました。
さっきも書いた3’53~のエンディング付近。
ここからは「ヴォーカルの2人がよく平然と歌ってたなあ」と思うくらいに、
ベースとピアノがズレにズラして演奏してます、スリリング!おんなじ事2回出来ないかもー(^^)