「アグロー案内VOL.7」徹底解説をやっておこう

Post date : 2024.07.15

Category : NEW RELEASE

前作VOL.6から10ヶ月、2024年初の「アグロー案内」となったのが
今作でして、理由はハッキリとないですけど、七夕の日、7/7にリリースしました。

まあいつでも良かったんですけど、完成した段階で大吾と話してると、
大吾は割と「早く出しちゃいましょう」って感じなので
一番近々で、なーんとなくイベント毎っぽい日にすればいいかなあと、思ったら7/7になったと。
都知事選挙の開票日だったのには、全く気付いてなかったです。
…あ、オレは個人的には、Dさん(MUMMY-D)と北海道にいてる日で、
ご機嫌に海産物と日本酒に舌鼓を打ちまくってた間にリリースされてたような気がします(^^;)

あ、話が逸れるな

「アグロー案内VOL.7」について、決めてた事と言えば
去年(2023年9月)のXのツイートで大吾も言及してた、これ
↓ ↓ ↓

これは今作に収録された「フィボナッチは鳳梨を食べたか?/pineapple as a depreciable asset」のラフ段階のものを
大吾に聴かせた時の話で、オレはボツにしてたのが、日の目を見ることになったキッカケです。
ということで、これを次作には収録しよう!ってのだけは決めてた事でしたね。

まずは収録曲を確認しましょうか

1. 名探偵は2度起きる/the return of you-know-who

今年(2024年)に入ったタイミングで、新しい曲をまた続々を作ってた(そのほとんどがまだ未発表だが)時に
なんだか自分の中で盛り上がってきてたのが、
「ブレイクビーツを組んで作ろう」ブームでして、
人生で、もうかれこれ何回目だ?っていうブーム…というか、
やっぱHIPHOPって言えばブレイクビーツがカッコいいのがいいよなーって
人生で、もう何度目やねん!っていう再認識がやってきまして、
まあ、数年に1回必ずやってくる病気みたいなもんでしょうね。
それで、よし!今年はまずブレイクビーツをいくつか作ろう!ってことで、作った内の1つですね。
同時に、「名探偵山本和男」新シリーズのテーマ曲の事もずっと考えてて、
season1では、どっちかというとオーセンティックなミステリー(いうまでもなくホームズ)の雰囲気をベーシックに
メインテーマを考えてたので、今度はなんだろうなあと、思ってた中で
音楽も好きで見てたテレビシリーズ、それもUKもの、という感じで思い出したのがこれ

スタイリッシュにコンゲーム(詐欺)を仕掛けて、悪人をとっちめる感じが
めっちゃ英国っぽくて、全シリーズコンプリートしてしまったんやけど、
音楽の感じも、めっちゃ好きなんですよね
この感じで、キーボードを重ねていって作ったのが「名探偵は2度起きる」
大吾がまさかリーディングを乗せて返してくるとは思ってなかったんで、ビックリしたなあ。
おそらく、この流れで行くと「山本和男」は古典的な探偵から、もう少し現代よりのイメージになってくるのかもね。
時代も令和ですから………..知らんけど。

2. ある昼行灯の問題/still on the table

この曲も、今年作り下ろしのブレイクビーツブームから出来た曲の1つでして、
思いっきり「大吾のリーディングが乗ったら、映えそうな曲」を作ってみよーと思って作りましたね。
まずピアノを弾き倒して、それをチョップ・フリップして大枠を組んで
そこにベースとエレピを無修正手弾きで頭からズルッと弾ききって
曲を作り上げるという、タケウチカズタケ的王道手法で作ってます
大吾が声を乗せて返してくれた時に、「あー、この感じイメージどおりだー、やった!」って、
小林大吾クラシックの1つになったらいいなと思ってましたね。
2ヴァース目の頭で「ピーンポーン」って乗せてるの聴いて、トラックとの呼応がピッタリすぎて
思わず「お〜〜」って声が出たのを覚えてます。
相変わらず、何言ってんだ、この人は!って内容もいいよね(^^)

3. フィボナッチは鳳梨を食べたか?/pineapple as a depreciable asset

これは冒頭に書いた通り、去年(2023年)の時点でほぼ大枠出来てた曲ですね。
しかも、最初に着手したのはかなり前で、いつだったかなあ…
大吾から、このリーディングの録音をアカペラで受け取ったのは、紙芝居と同じタイミングなんで
2022年には貰ってたけど、あまりにも、どうしようも無い内容だし、これといったオチもなかったので
聴いてはみたけど、しばらく放置してましたね。
大吾も、素材として使ってくれと、言ってたのでまずは声を素材にトラックを組んでみる所がスタートだったかなあ。
トラックの中に聞こえてくる「ヒー」みたいな声も、元は大吾で、
そのピッチを上げてビートの音の1つにしてしまって、
次にリーディングの中から、自分的に印象的だった言葉だけを切り出してみようと。
とあるワードが面白いと思ったので、それをとりあえず逆回転にしてみたら、
何言ってるか?わからない上に、なんだかフランス語か何かみたいな語感に聞こえたんで、
ああ、これを反復させようと思って、それだけも何なんで、左右でそれを呼応させようと思って、
「腐るパイナップルを..」を切り出して、左右に配置してみたと。
曲調は重くならない、軽くなりすぎない、というルールを敷いて、
ずっと聴いてられるベースリフを作ってみたって感じですね。
なんとなく南国っぽい感じ?かな。パイナップルの話だし…あ、フィボナッチの話か、まあどっちでもいいか。
ああ、そうそう、最後に大吾のリーディングも乗せてみようかって思って、
そのまんま乗せると、ちょっとシリアス過ぎたので、声のピッチを少しあげて、
若干のケロケロボイスにしてみると、ちょうど程よい軽さが出て、
話自体はちょっと聞こえにくいくらいで、いい塩梅かなと思って最後に入れてみた、という工程でした。
ミックスは、4曲の中でも最後にやったので、音響的には今一番やりたい自分の音感になってますね。
そういう意味では、次回作に繋がるカギが隠れてる作品といえるかも。

4. コード四〇四/page cannot be found

えー、今回の「アグロー案内」の中の目玉曲でしょうね
大吾の作品の中でも人気の高い「コード四〇四」のリメイクに挑戦した作品。
当然ながら、オリジナルがある意味で完成している上で、改めて作る意味とは?という、
アグロー案内諸作の中でも、何度も問いかけられてきた「高いハードル」があるんですが
「大吾と一緒に今の時代に自分達が残すSOUL MUSICを作りたい」というのが
オレの中でずっとブレずにある「アグロー案内」シリーズの、大前提というかテーマなんですね。
「間奏者たち」「話咲く種をまく男」「棘」「ジャグリング」「ジョシュア」と作ってきた時も
同じ気持ちだったんですけど、今作の難しさは、またちょっと違ってて
オリジナルトラックにはベースが入ってないんですけど、
それがリーディングをクリアに聞かせる(デリバリー)要員の1つになってて、これは重要なポイントだと思うんですね。
あと、今の大吾(2024年)のリーディングでこれを歌うとなると、
おそらく声の使い方、トーンが変わってくるし、よりベースやキック、リズム全般の位置付けをどうするか?
ってのは考え所でしたね。
よく聴いてもらうと、スネアの音色だけでも数種類、場面で色々と変えてるし、
重ねてる音の種類も、一聴するシンプルさとは裏腹に結構種類は多い。
ミックスも細かい所まで調整してます。
でも、トラック全体の手触りを保つために、前述の自分的王道手法である、
ベースとエレピは最初から最後まで一気に弾き切るスタイル(エディットや修正をしない)で作ってます。
それにしても、この曲の大吾のリーディングはホントに凄い。
倍テンのラップを聴くような早口マシンガンのようなフロウの中で、感情のちょっとした起伏も表現してて
これは圧巻です。若いHIPHOPリスナーには、どう聴こえるんだろうなあ。

あー、書いた書いた
結構赤裸々に書いたぞー
これはもうライブのMCで裏話しようと思っても、もう無いかも。
まあ、ここで読んだ事は早々に忘れてくれ!
そして、また「アグロー案内VOL.7」を聴いてくれ!でははー

KAZTAKE 42 MUSIC